プロレスに救われた者たちが紡ぐ『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』を観た

レビュー

久しぶりの記事投稿になります。

今回は映画『新根室プロレス物語』を試写で鑑賞させてもらう機会があったので備忘録も兼ねて、レビューを書きます。ジャンルはドキュメンタリー、ひとりのプロレス愛好家によって設立された”アマチュア”プロレス団体「新根室プロレス」に関わることで人生が変わった者たちを紹介する作品です。

もともとはテレビのドキュメンタリー番組でしたが高く評価されたことから追加取材をおこない劇場用映画として制作されました。以下、ネタバレにならない程度の紹介・レビューです。

(c)北海道文化放送

おもちゃ屋の店主が創設した”アマチュア”プロレス団体

サムソン宮本は北海道・根室市のプロレス愛好家で、インターネットでリングを入手して”アマチュア”プロレス団体「新根室プロレス」を2006年に創設します。その後、アンドレザ・ジャイアントパンダが注目を集め、アマチュアプロレスでありながら、様々な団体に参戦し話題を呼びました。

傷ついた者が集まる場所

新根室プロレスのメンバーの多くは、仕事・病気・家族etc.と様々な理由で人生につまずき、傷付いた過去をもっています。実弟のオッサンタイガーを始め、性別・年齢を問わず多様な方たちが作中では紹介されます。とくに、大仁田厚のオマージュ・パロディレスラーの大砂厚のインパクトはすさまじく大きく、新根室プロレスの公式チャンネルで紹介されている自宅は映像は必見です。(新根室プロレス 家の中ぜんぶ抜く大作戦

サムソン宮本と出会い、新根室プロレスに関わることによって生きがいを得て、人生がまた動き出していったのです。

大きなものを失っても、進んだ先に

アンドレザのブレイクでさらに勢いづくか、と見られる中、サムソン宮本は大きなものを失っています。大きくわけてふたつのものを失っていますが、どちらも厳しいものでした。そんな中、サムソン宮本は新根室プロレスの解散と東京興行を決意します。2019年10月13日(日)に東京・新木場1st RINGで新根室プロレス初の東京大会であり、解散興行が解散されました。メインイベントでサムソン宮本は1時間ほどにわたる13番勝負をおこないます。※大砂厚や越中スシロー、ジジー・スヌーカーなど数名が飛行機欠航により欠場。

13番勝負に現れた「たなはっしー」

サムソン宮本のダイビングクロスボディ

試合を闘い抜いたサムソン宮本のもとに、失ったもののうち「ひとつ」が還ってきます。そしてもう一度、新木場に戻ってくることを宣言し、興行は終了します。

観戦記:10/13 新根室プロレス 東京・新木場1st RING

残された者に遺されたもの

作中では、解散興行のその後のようすが描かれます。どのようなものだったかは重大なネタバレになってしまうので、ぜひ鑑賞して確かめてください。ただ、これだけは言えるのはサムソン宮本というひとりのプロレス愛好家が生み出して遺した新根室プロレスにそこに不思議な縁で集まった者たちが救われたということです。

この作品はプロレス映画ではなく人間賛歌

タイトルにこそプロレス団体名が冠され、作中ではプロレスをしている姿が多く描かれていますが、この作品はプロレス映画ではありません。良いことも悪いことも、楽しいことも悲しいことも全てが人生に彩りを添えるものであり、生きることの素晴らしさを伝える作品です。

サムソン宮本が新木場大会でのあいさつにも、作中でも送っているメッセージで、この記事を終えます。

「人生一度きり。やりたいことをやれ、バカにされてもいい、きっとみんなわかってくれる。」

『新根室プロレス物語』公式Webサイト 

※愛知県下ではシネマスコーレにて2月24日(初日に舞台挨拶あり)より上映

シネマスコーレ公式Webサイト


映画『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』予告篇


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フリーランスで企業・イベントの広報やPR、ライターおよび編集、クラウドファンディングの企画運営サポートなどをしています。 全国の地域密着型プロレス団体で活動する選手を紹介する『ローカルプロレスラー図鑑』を制作しました。

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