前回に続き、プロレス団体のクラウドファンディング活用事例についてまとめます。
▼運営資金援助募集型
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた団体が、事業継続のための資金を募るタイプです。
大日本プロレス
ダブプロレス
元来、クラウドファンディングは何かを作ったり、成し遂げたりするための資金調達方法であり、固定費や人権費に充てるための資金を募るのはイレギュラーな使い方ですが、新型コロナウイルス感染症による影響があまりにも大きいため特例のような使われ方といえるでしょう。
CAMPFIREをはじめとした一部プラットフォームでは期間限定ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたと認められれば、手数料を減免・免除しています。
リターンは観戦チケットやグッズなどが一般的ですが、大日本プロレスは支援者限定興行への招待もリターンに設定しています。
▼プロダクト型
書籍や映像など作品をつくるための資金を募るタイプです。プロレスに限りませんがクラウドファンディングで最も多い資金活用例のひとつです。
書籍:くいしんぼう仮面
映像:MAKAI 『ストーリー型360度アクション』【VR魔界】を制作したい!
映画:道頓堀プロレスが協力
映像:ダイナマイトキッド・ドキュメンタリー
ゲーム:CHIKARA PRO
CHIKARA CHIKARA: Action Arcade Wrestling Video Game!
他にも、入場テーマ曲やイメージDVD、写真集などの製作費を募るプロジェクトが数多く実施されています。
リターンは作品そのものの提供(デジタル・物理媒体)や、クレジット表記、お披露目イベント参加権や、製作見学権などがよく見られます。
▼そのほか
団体が地域と連携しての施策をおこなったり、クリエイターがプロレスにまつわる作品を製作したりするために費用を募るなど、様々な目的でプロジェクトが実施されています。
HEAT-UP
徳光康之(個人)
もちろん「多くの人たち」から「多額の支援」を得られるのが望ましいですが、数十人ほどから資金を募るパターンも珍しくなくなっています。
団体運営資金を募るのはひんぱんに使うのは反感を買いやすいので難しいですが、興行開催においては、ローカルプロレス団体が地域と共同でおこなうために募るのはこれからも続いていくと考えられます。
クラウドファンディングに対しては、しばしば自己資金のみでやったほうがいいと指摘されるのが少なくありません。その考え方もひとつの正解ではありますが、自己資金のみで実施するよりもクラウドファンディングによって、注目を集めてより多くの人に知られたり、金銭以外の面でサポートしてくれる人が現れたりといったプラス面がとても多いのです。
私自身もクラウドファンディングで『ローカルプロレスラー図鑑』シリーズを作らせてもらいました。クラウドファンディングだったからこそ団体・選手・メディアetc.の協力を得られたと実感しています。
『ローカルプロレスラー図鑑2017』より(発行時は現:ZERO1のヤス久保田と、現:プロレスリングBASARAの阿部史典はスポルティーバエンターテイメント所属)
地元の愛知・名古屋の団体はスムーズに協力を得られましたが、他地域の団体代表者・広報の方にほぼ初対面で掲載をお願いする際に「すでに○○人の方たちから支援をいただいているプロジェクトです」と示すことで許諾を得られたのです。
自分自身のアイデアや理念、目指すものに対して、人数と金額という明確な数字で世間から評価されるのは怖くもあり面白くもあるので、また何らかの形でクラウドファンディングに挑戦したいと考えています。
スポルティーバアリーナ支援クラウドファンディングでのリターンTシャツ。